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貸す場合と売る場合の比較

2021.06.20
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家を貸す場合と売る場合、どちらの方がよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。
家は決して安いものではないからこそ、どちらがよいのか慎重に決めたいですよね。

どちらがあなたに合っているのか判断するには、家を貸す場合と売る場合、両方のメリットとデメリットを知ることが重要です。双方のよい点悪い点を知ることで「こんなはずじゃなかった」と、後から悔やむ危険性を格段に下げられます。

そこで本記事では、家を貸す場合と売る場合のメリットとデメリットについて解説します。
結局どちらがいいのか決めるための判断方法もお伝えするので、家を貸すか売るかで悩んでいる方は、ぜひご一読ください。

家を貸す際・リロケーションのメリット・デメリット

家を貸す場合にはメリットとデメリットの両方があります。そのため家を貸すなら両方の側面を理解することが重要です。ここでは、家を貸す際のメリット・デメリットをそれぞれ解説します。

メリット

家を貸す一番のメリットは、入居者からの賃料が得られることです。

家の貸主は家賃収入を得られますが、賃料のすべてが手に入るわけではありません。そのため家を貸すならどのくらいの収入が得られるのか、事前にシミュレーションするのがおすすめです。税金や維持管理コストを賃料から引いた額が実際の利益なります。

家を一度借りてくれれば、基本的には二年間の賃貸契約が続きます。したがって二年は安定した収入が得られるということになります。

また家を貸す場合、税金面でもメリットがあります。
どういうことかというと、事業として家を貸す場合、家そのものに課税される固定資産税や購入時に組んだローンの金利分を経費計上することが可能になるのです。

分譲マンションの場合は管理費、修繕積立金なども経費として計上ができるものもあるので、国税庁などのHPを確認することをおすすめします。

ただし、家を貸すことで税金面のメリットを得ようと思うと、確定申告をしなければなりません。手間はかかりますが、家を所有しているだけの状態と比べると得られるものは大きいので、正確に申告しましょう。

デメリット

家を貸すデメリットは、入居者がいなければ収入は入らないことです。

どんなに優れた物件でも、借り手が必ず見つかるわけではありません。しかし、たとえ入居者がいない状態でも外壁や水道管などの維持管理コストはかかります。入居者の有無に関わらず建物の劣化は進むからです。

また、空室が続くとなんらかの入居者対策が求められます。対策のひとつとしては家賃の減額があります。周辺の相場価格よりも安くなれば、借り手には魅力的な物件に映ります。

しかし家賃を下げるということは、家主の収入が減ることを意味します。家を貸す段階で考えていた収支シミュレーションが崩れると、自分の生活が厳しくなるため注意が必要です。

さらにローンの残債が残っている場合には、毎月の返済額さえも家賃収入で賄えなくなる可能性もあります。そうなると経済的に困り、家を手放さざるを得なくなってしまいます。そのため、賃料の安易な下げ過ぎには気をつけてください。

また入居希望者からの問い合わせが入った場合、契約の前段階において、仲介を担当する不動産会社が審査を行います。しかし、まれに入居者の中には常識のない人もおり、そうなると近隣住民とのトラブルになる危険性も高いです。

これらの問題を解決してもらうには、管理会社の選択が不可欠ですので、慎重に選定することをおすすめします。ただしその場合、毎月の管理費を支払う必要もでてくるため、事前に管理を依頼する会社に管理費等を確認しましょう。

このように、家を貸すことにはメリット・デメリットがあります。どちらかしか知らないと、「事前に知っておけばよかった」と後悔する原因になります。そのため、両方を理解したうえで家を貸すのか判断してください。

リロケーションをする際の注意点

転勤などの間に家を貸し出したい場合、リロケーションという方法が適しています。リロケーションとは定期借家契約で留守宅を貸し出すことです。

通常の賃貸と大きく違う点は管理にかかる費用です。リロケーションでは管理を請け負う会社が家賃の受け渡しや建物の管理、貸主とのやり取りなどを代わりにやってくれますが、代わりに管理費用が発生します。会社や委託する内容によって管理費用は変わりますが、家賃の1~2割をみておくのがよいでしょう。

家賃も相場より下がる可能性があります。定期借家契約は定められた期間満了時に退去するのが前提となっている契約です。そうでないと転勤から戻った時に帰る家がなくなってしまいます。

そうなると借りる側にとってはまたすぐに転居しなくてはならない物件ですので、借り手がつかない可能性もあります。そのため相場よりも家賃を安くすることで価値を付ける方法がとられることが多いです。

ただし、家賃は下がっても管理費用や固定資産税などはかかります。どの程度の家賃が見込めればリロケーションでマイホームを持ち続けられるかをよく検討することが必要です。

また、借主が現れないと管理費用だけがかさみ、結果として赤字になってしまう可能性もあります。サブリース契約という空き家保証サービスもありますが、その分家賃はさらに値下がりすることになります。

家を売却するメリット・デメリット


家を貸す以外には、売却する選択肢もあります。実際、家を貸す場合と売る場合、どちらがいいのか悩む場面は少なくないでしょう。判断する基準が分からないと、なかなか結論を出しにくいです。そのため、これから家を売却する場合のメリットとデメリットを解説します。

メリット

家を売却するのであれば、通常は購入金額よりも安い金額になりますが、数千万円単位のお金が一気に手に入ります。そのため、すぐにまとまった現金収入が必要な人には、売却がおすすめです。

売却で得た現金を、残ったローンの返済に回すこともできます。家を手放したのに、ローンの返済だけが残ってしまったら最悪です。したがって、できる限り高い価格で家を売却し、残ったローンを一括返済しましょう。ローンを支払った上で手元に現金が残るくらいの高価格で家を売ることを目指してください。

また、自己資金を多めに払っている場合は、売却の金額で支払いは可能となります。しかし、ほぼ100%借入れの場合は、自己資金から支払いをするようになります。そのため、住宅ローンの残債がいくらあるのかを確認して売却値を算出するようにしてください。

なるべく高値で家を売るためには、不動産会社選びはとても重要です。売却の仲介を担当する不動産会社によって販売価格が異なるからです。高い価格で家絵を売却したいのであれば、最低3社以上には査定を依頼するようにしましょう。その中から、最も良さそうな不動産会社を見つけて、依頼することをおすすめします。

また、家を維持するにはそれなりのランニングコストがかかります。しかし、家を売ってしまえば当たり前ですが家はなくなるので、ランニングコストがかかりません。将来にかかる支出と手間が、家と一緒に消えてなくなります。

さらに家を売却すれば、なんらかの理由で別の家に買い替えたいときも、今の家を現金化して新たな家の資金に充てられます。新しい家を購入する場合、現金が足りなくてローンを組む場合も多いでしょう。今住んでいる家を売却すれば、その金額の分だけ借入額の負担が軽減されます。

デメリット

単純に現金が欲しいのであれば別ですが、不動産を売って現金化しても、損する可能性がある点はデメリットです。

家を売れば、家を貸していたときに入っていた家賃収入がなくなります。そのため、売却額との兼ね合いで貸し続けるのと売ってしまうのとで、最終的にどちらが得かを計算してから判断するとよいでしょう。

また、家を売りに出しても思ったように売れないこともあります。そんなときは売却額を下げたり、業者買取を検討し直したりする人が多いです。価格よりも、とにかく売却できることを最優先にするならばそれでもかまいません。しかし買い手が有利な条件に変更するため、あなたが得る利益は減ります。

さらに、家を売る際に不動産会社を利用した場合、支払う仲介手数料や登記費用、印紙税などがかかります。結果として、自身の手元に入ってくる売却益が減ることになるので、売却時に出ていくお金も事前に考慮しましょう。

また、売主になった場合には瑕疵担保責任がついてきます。売主、買主双方で協議の上、瑕疵担保責任を免除する契約もありますが、基本的には責任があります。そのため、取引終了後に躯体及び設備等の修繕費用の負担が発生する場合もあるので、注意が必要です。

多額の現金がすぐに必要、もしくは家を手放したい希望や事情があるならば、家を売却するのがおすすめです。

貸すのと売るのどっちがお得?

結局のところ、家を貸した場合と売った場合では、どちらがお得になるのでしょうか。どちらの収入の方が多くなるのかは、その家の状況次第なので、一概にどちらと決めることはできません。

実際にそれぞれ計算して、数字を出すと良いでしょう。家を貸す場合は、賃料の計算をします。

最低限損をしないと思われる賃料を決めて、住宅ローンや火災保険、地震保険などの損害保険料、不動産会社への委託費用などを加味して、1~2万円をプラスします。あわせて、近隣の不動産会社や住宅情報のポータルサイト(SUUMOやHOME’Sなど)を利用し、競合してそうな物件の賃料相場を調べて、賃料設定の参考にしましょう。

家を売却する場合は、公示価格で計算をします。公示地価とは、国土交通省が発表している土地の価格です。

実勢価格は、市場の状況により変動があります。公示地価は実勢価格ではないので、あくまで参考価格として利用しましょう。

また家は様々な形態、様式があり、条件が異なります。具体的な売却額は不動産会社に依頼して、プロの目で査定してもらいましょう。

査定を依頼したからといって、すぐに売る必要はありません。ネットからでも簡単に申し込める、無料査定や売却相談をうまく利用しましょう。長期的に家賃収入を得る方が良いのか、一度に現金化した方が良いのか。具体的な数字を比較することは、判断の決め手につながります。