• 基礎知識

賃貸で貸出をする場合の流れ!

2019.08.15
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(1) なぜ住まいを貸すのか、
(2) いつまで貸すのか、
(3) 将来その住まいに住むつもりなのか、

将来住む予定がなく貸し続けるつもりなら、通常の賃貸借契約(普通借家契約)、いずれ自分が戻って住むつもりなら、契約の終了が確実な定期建物賃貸借契約(定期借家契約)も選択肢となるでしょう。

また、住む予定がない場合は賃貸ではなく、売却のほうが適切な場合もあるかもしれません。

住まいを貸すには様々な理由がありますので、将来を見据えて「貸す理由」をしっかりと整理することが重要です。

ステップ1

相場を知って、賃料の目安を立てる

住まいを貸すと決めたら、いくら程度で貸せそうかの目安を立てます。まずは、住まいの周辺の募集賃料を知ることから始めるとよいでしょう。

(1)個別の物件の賃料を知る
住まいの賃貸借の場合、一般的には募集時の賃料と、実際の契約賃料との差はあまり大きくないといわれています。

そこで、まずは広告等に掲載されている物件の賃料情報を調べることで、ある程度の相場を把握することができます。

ただし、実際に取引される賃料と掲載された賃料が一致するとは限りませんので、あくまでも参考情報として活用してください。

(2)各地域の相場動向を知る
各地域の平均的な賃料相場やその動向については、様々な統計情報が公表されています。

それらを調べることによって、エリアごとのおおむねの賃料相場やその変動を把握することができます。

また、そのエリアの情報を多く扱っている不動産会社から相場情報を聞くことも有効です。

ステップ2

貸した場合の収支について考える

住まいを貸すと、賃料が収入として入ってきますが、税金や管理費などの支出も考慮する必要があります。したがって、おおむねの収入と支出がどのようなバランスになるのかを試算しておきます。

ステップ3

賃料の査定を依頼する

不動産会社に借り主の募集を依頼する場合は、賃料の査定を依頼します。

(1)不動産会社の特徴を知る
不動産会社には、様々な特徴を持つ会社があります。
例えば、多数の支店を構える会社の場合、自社のネットワークを活用した情報提供や遠隔地での取引に強みを発揮することが考えられます。

また、特定の地域で長く営業している会社は、不動産以外にも、様々な地域情報に精通していることが考えられます。

このような不動産会社の特徴は、会社の規模などで形式的に判断できるものではありません。近隣での評判などを参考に、不動産会社の担当者とのコミュニケーションの中で見極めていくことが大切です。

(2)不動産会社の基本情報をチェックする
不動産会社の基本的な情報は、インターネットや行政機関(宅地建物取引業者の場合)などで調べることができます。住まいを貸すに当たって、不動産会社に仲介を依頼する場合には、確認しておくとよいでしょう。

また、管理業務やサブリース業務には、宅地建物取引業法の規制はありませんが、不動産会社の多くは宅地建物取引業者ですので、参考までに調べておくとよいでしょう。

なお、各募集サイトでも、知りたい不動産会社について調べたり、エリアや路線から不動産会社を探すことができます。

(3)宅地建物取引業の免許番号
不動産の売買や仲介を行うためには、宅地建物取引業の免許が必要です。複数の都道府県に事務所(本支店等)を構える会社は国土交通大臣の免許、1つの都道府県にのみ事務所(本支店等)を構える会社は都道府県知事の免許で営業しています。

免許番号は不動産広告にも必ず記載されていますので、確認しておきましょう。なお、免許番号から、不動産会社の免許権者(国土交通大臣か都道府県知事か)と免許の更新回数を確認することができます。

免許は5年ごと(平成8年3月以前は3年ごと)に更新されますので、更新回数が多い会社は営業歴が長く、一定の経験を有すると判断できますが、更新回数が少ない場合でも、高いノウハウを有する会社もあります。

あくまでも免許の更新回数は、不動産会社を選択するに当たっての参考情報として確認しましょう。

ステップ4

不動産会社に依頼をする業務を決定し、正式に依頼をする(契約の締結)

住まいを貸すには、入居者を募集し、入居後の管理(賃料の授受、入居者の苦情対応、物件の清掃など)を行っていく必要があります。

これらを自ら行うことができない場合には、不動産会社へ依頼することになります。入居者の募集を依頼する場合は仲介業務を、入居後の管理を依頼する場合は管理業務を不動産会社に依頼します。

(1)不動産会社に査定を依頼する
賃料査定に際しては、複数の不動産会社に依頼して、各社の査定賃料を比較するのもよいでしょう。

ただしこの場合、前提条件が違うと、査定結果を比較できませんので、どの会社にも同じ情報を提供することが重要です。

また、正確に査定を行うためには、物件の不具合などの情報もできるだけ提供することが大切です。

(2)査定料金の根拠を確認する
不動産会社から査定賃料が提示されたら、その根拠をしっかりと確認することが重要です。査定賃料の根拠の説明は、不動産会社の特徴に応じて様々な手法で行われます。

また、複数社に査定を依頼した場合、査定賃料に差が生じることがありますが、高い査定賃料を提示したところが、よい不動産会社というわけではありません。

高すぎる賃料を設定したために入居者が決まらなくなってしまうことがないよう、査定賃料の裏付けをしっかりと確認することが重要です。

なお、賃貸と並行して売却も検討している場合は、売却の査定を同時に依頼してみるのもよいでしょう。査定依頼に当たっては、次のような資料や情報が必要となりますが、これらの資料や情報が不足する場合は、不動産会社が調査をしてくれることもあります。

(3)仲介を依頼する会社を選ぶ
賃料査定によって、物件のおおよその賃料を把握することはもちろんのこと、その会社が信頼できる会社かどうかを見極めることも大切です。

いかに丁寧に親身になって査定賃料の根拠を説明してくれるのか、その説明内容が合理的で納得のできるものかなど、査定結果と不動産会社の対応を踏まえて、「自分に合った」不動産会社を選びましょう。

仲介の依頼形態による違い

不動産会社に仲介(入居者募集など)を依頼する形態には、「媒介」と「代理」と「転貸」があります。どの形態で依頼するのかは、どのように募集活動を進めていくかなどによって、自分の意思で選ぶようにしましょう。

媒介(一般的な仲介のことです)の場合は、不動産会社のサポートを受けて入居者を決定しますが、最終的に入居者を決定し契約を結ぶのは貸主となります。

一方で、代理の場合は、一般的な仲介の業務に加えて、入居者の決定や契約の締結も含めて不動産会社に委任することになります。

転貸の場合は委託を受けた不動産会社が貸主となり入居後の対応は全て不動産会社が対応します。

ステップ5

賃貸条件を決定し、入居者を募集する

賃料や契約期間など、募集に当たっての賃貸条件を決定し、入居者を募集します。不動産会社に仲介業務を依頼した場合は、不動産会社と相談しながら賃貸条件を決定し、貸主と不動産会社が合意した方法(インターネットや情報誌への掲載など)によって募集活動を行います。

ステップ6

入居希望者への対応、条件交渉などを行う

入居希望者からの問い合わせや物件見学に対応します。その他、入居希望者との条件交渉なども行います。不動産会社に仲介を依頼している場合には、これらの業務を不動産会社が行います。

ステップ7

入居申込者を審査し、賃貸借契約を結ぶ

貸主は入居申込者の審査をし、最終的な入居者を決定します。その後、入居者と賃貸借契約を結ぶことになります。不動産会社に仲介を依頼している場合は、不動産会社が入居者審査や契約手続きをサポートします。

ステップ8

入居後は管理などの対応をする

契約を結んで入居した後は、入居者からの賃料の受け入れ、入居者の苦情対応、物件の清掃などの管理を行います。

また、契約期間が終了したときの契約更新や退去手続き、退去後の入居者の募集などにも対応しなければいけません。不動産会社に管理業務を委託した場合は、これらの業務を不動産会社が行います。

なお、住まいを貸すことで、家賃収入を得た場合には、確定申告も必要です。