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実家を相続した際の選択肢とは?
2020.02.05実家に住んでいた親が亡くなると発生するのが、相続の問題です。一人っ子の場合や遺言がある場合はスムーズですが、兄弟がいる場合や遺言がない場合、揉めることも多いですよね。
特に不動産は物理的に分割することができませんし、争いを避けるために共有名義での相続をするという選択肢を取ることもあるかもしれません。しかし共有名義にしたことで、かえって争いを生んでしまうこともあります。と言うのも、大規模なリフォームをしたり、売却したいと思ったときには、共有名義人全ての承認を得なければならないからです。
また、共有で相続した兄弟たちが亡くなり、それぞれの子どもたちが相続する立場になったとき、更に細分化されて非常に面倒なことになります。ですから、家の所有権は最初の相続の段階で明確に分けておいたほうが無難でしょう。
自分が実家を相続することになったら
ここからは、自分が実家を相続することになった場合について考えていきましょう。
親が亡くなる世代ですから、40後半~60代後半くらいの方がほとんどでしょうか。その年代の人であれば既に自分の家を購入しているという方も少なくないでしょうが、もし、実家を相続した時点で賃貸住宅に住んでいるという人は、賃貸住宅を引き払って実家に引越ししてしまうというのもひとつの手です。ただ、実家が勤務先から遠い地方にある場合は、仕事を辞めてまで引越しする必要もありませんし、自分の家族に引越しを拒否されるかもしれません。
ちなみに、不動産の所有者が亡くなった後、いつまでに相続登記(名義変更)しなければならないという期限は特に定められていないので、名義人が親のまま自分が居住したとしても、何か法律に違反するわけではありません。
しかし、もし今後売却する可能性を考えると、あらかじめ相続登記を行っていたほうがスムーズです。相続登記は1週間から10日ほどかかります。売り時のチャンスを逃さないためにも、余裕を持って手続きしておくことをおすすめします。
また、定年退職後は田舎の実家でのんびり暮らしたいと考えていたり、子どもの頃の思い入れがある家だからどうしても手放したくないという場合には、賃貸物件として貸し出すという方法もあります。
実家が都心に近かったり、田舎だが交通の便が良いなど、物件としての価値が高い場合、売却すればまとまったお金を手にすることができますし、貸し出しすれば定期的に家賃収入を得ることが可能です。逆に、実家の場所が地方であればあるほど、売却も貸し出すことも難しくなります。
売却や貸し出しを考えるときには、本当にニーズがある物件なのかどうかを慎重に見極めるようにしてください。
空き家を放置することはダメ!
売却も貸し出しも難しいからと言って、なんとなく空き家のまま放置してしまっているという人もいるかもしれませんが、それは危険です。空き家は、防犯上、衛生上、そして景観上、周囲に悪影響を与えるということで、近年社会問題化しています。それに対応するため、2015年には「空家等対策特別措置法」が施行されました。この法令により放置していた実家が「特定空き家」に指定されてしまうと、過料を科されたり固定資産税が大幅に増額されたりするなどの不利益を被る場合もあります。
家は、誰も住んでいないと劣化するスピードも早くなります。特定空き家に指定されないためには、人が住むか、定期的に手入れをすることが必要になります。ただ、不動産は所有しているだけで固定資産税がかかりますよね。だからと言って建物を解体し更地にした場合は固定資産税の優遇措置が外れ、税額が最大6倍にも跳ね上がってしまいます。
このように、何かとやっかいな実家の相続問題。相続放棄をするという選択肢もありますが、その場合すべての財産の相続を放棄しなければならないため、借金などがなく、まとまった預貯金がある場合は安易に相続放棄もできませんよね。
まとめ
本来であれば、親が元気なうちに実家の相続について話し合っておくことが理想です。ただ、親が自分の死んだときの話をするのを嫌がることもありますし、予期せぬタイミングで突然亡くなってしまうこともあります。
実家を相続した際の選択肢としては、自分が住む、売却する、貸し出す、のいずれかになります。どの選択をしたとしても一長一短ありますので、よりよい方法を選ぶようにしてください。