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定期借家の居座りのケース

2021.07.20
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定期借家契約の立ち退きについて

質問者:Aさん
(定期借家契約の立ち退きについて)

私は定期借家契約で1年間家を貸そうと思っています。もし1年たっても入居者が退去しなかった場合、強制退去させるための手順と、かかる費用をお分かりの方がいらっしゃいましたら教えて頂けませんでしょうか。お願い致します。

回答者:Bさん

定期借家契約ですよね・・・おそらく、めったなことでは強制退去させるようなケースはないと思いますよ。

定期借家契約において、正規の手続きにより契約期間を満了した場合、普通借家契約と異なり、借主(入居者)側を擁護する法的根拠がないため、借主(入居者)側には、いわゆる「居座り」をする権利もなく、また「立退き料等」の金銭等を請求できる権利もなく、ほとんど全くメリットがありません。逆に、居座りをしたことによって、貸主から損害賠償請求される等のデメリットの方が大きいと思います。

とはいえ、万が一、悪質(異質)な借主等に居座られてしまった場合は、普通借家契約であれ定期借家契約であれ、同様に裁判所へ強制執行を申し立てた後の、強制退去措置が考えられると思います。

その場合に必要な費用は、弁護士へ依頼することを前提にすると、着手金/成功報酬/強制執行者報酬/諸費用実費/その他等の費用が考えられ、数十万円~百数十万円程度は必要となることが想定されます。

ちなみに、契約満了とともに退去することを認識した上で、定期借家契約を締結したにもかかわらず、入居者に「居座り」されてしまうケースとしては、「転居先が未決定」のまま契約満了日を迎えてしまったため、行き場所がなくズルズルと・・・そして開き直った・・・というような場合が多いようです。

そのような最悪の事態を招かないためにも、仲介業者等に協力を仰ぎ、場合によっては行政支援等も活用し、早期に現借主(入居者)の転居先が決定できるようにアプローチすることをお勧めします。

アドバイス

当社でも約10年間ぐらい賃貸管理を専門として管理をさせて頂いていますが1件だけ居座りをされた事例がありました。

対応としましては決まり通り6ヶ月前に予告をしまして3ヶ月前に予告をした時に入居者から転居はしない主旨の連絡がありました。

入居者の正当性が無い為、1ヶ月前にも予告をさせて頂きましたが入居者からはなんら返事もなく引渡の日時が過ぎましたので配達証明付き内容証明書を送付しましたが数日後に郵便局から配達が出来ない事の通知が届きました。

その後、現地に行き住んでいるのか住んでいないのかを確認をしまして居住の形跡がある事を確認後、弁護士さんに相談に行き早々に明渡の手続きを依頼をしました弁護士の話では内容証明書を送付すれば明渡はして頂く事は難しくないとのお話でしたが弁護士からの内容証明も故意的に受け取らないとの連絡がありましたので即時、明渡の訴訟の手続きに入りましたが裁判所からの書類も入居者は受取らず約3ヶ月間ぐらい引延ばしをして裁判所から不送達通知をだして初めて入居者の代理人から通知がありました。

当然、不当に入居を続けているわけですから代理人からは和解の報告を裁判所に提出してきまして約2ヶ月ぐらいの内に3回~5回ぐらい和解の為の話を裁判所でおこないましたが当方の弁護士の判断で時間稼ぎをしているとの事で和解を拒否して一部判決を裁判所に出してもらうようにしました。

当然こちらサイドの問題は無い為一部判決が出ました。

その後、入居者側の代理人からは控訴はしないとの報告がありましたので建物の引渡はして頂けるとの理解をしていましたがその後になりサイド和解案を代理人から通知をしてきました。このような事もあるかと考えて弁護士に強制執行の手続きを進めていました。

その後、執行官立会の基で催告の為、建物に立ち入りをしまして室内に何ら残している物がない事を確認後に正式に明渡の完了をして頂けました。

当然、鍵を壊しての立ち入りの為、鍵業者様も呼んでい頂き費用も2万円かかりました。

賠償を求めることができるとの内容の記載がありますが相手側に資金力ある方の場合は可能ですが、ない方からは頂く事は出来ないしそのような事を考えている方ですから資金がありましても保全をするような形にしていると思いますので、回収をする事は非常に厳しいかと思います。民事的には請求権は残りますが。

上記のような事がありまして定期借家契約だから明渡に関しましては安心が出来ない事が分かりました。全てがそうなるとは限りませんが。

退去しないときの対処法

定期借家契約の期間終了後に借主が退去しない場合、取るべき行動がいくつかあります。

まず、立ち退かない借主との話し合いを試みましょう。定期借家契約が適切に終結され、さらに1年以上の契約期間があった場合は、契約の1年前から半年前の間に契約終了の通知を行っていれば、基本的に借主が住み続けられる理由はありません。契約満了に伴う退去や発生している損害金等を内容証明等で通知し、電話や直接会って説得するといった方法で自主的な退去を促します。

強制退去を行うには明け渡し訴訟のための費用や立ち退きまでの時間も必要であるため、説得の上退去してもらうことが双方にとって損の少ない方法です。しかし、借主に内容証明を送っても受け取りを拒否されるなどの対応をされてしまうことも考えられます。

その場合、保証人や連帯保証人、家族などに連絡をとり、退去の説得をするよう説明することも必要です。契約満了後に退去しない場合の損害金等が定められている場合はその旨も説明し、理解を得るよう働きかけます。連帯保証人に関しては発生する損害金や未納金等の支払い義務が生じるため、借主と連絡が取れないなどの状況に応じて請求を行うことも可能です。

このような行うべき対処をしても退去してもらえない場合は、明け渡し訴訟へと進みます。強制執行にかかる費用は基本自己負担となるため、できるだけ本人との話し合いで自主的な退去をしてもらうことが重要です。