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【要注意‼】事前対策必須!よくあるトラブルとその回避法
2020.02.25不動産経営などで家賃収入を得る「不労所得」というイメージから、「大家さんはラクして儲かる」などと思われがちです。しかし実際は、入居者の対応に苦慮することもあります。
また、ローンや税金など世の中のお金の仕組みもよくよく勉強しておかないと、無駄に損を被ることもあります。オーナー(貸主)になるのも大変なことなのです。そんなオーナー(貸主)ができるかぎりトラブルを回避するためにも、対策や注意しておくことがあります。
騒音・異臭などの迷惑行為
騒音や異臭による迷惑行為はオーナー(貸主)を悩ませる問題の一つ。この問題が厄介なのは、オーナー(貸主)を含め周りの住人が迷惑だと思っていても、家賃さえきちんと支払っていればなかなか退去させるのが難しいという点です。
例えば、アロマオイルを利用している住人がいたとしましょう。アロマオイルのにおいは、生ごみや下水のような、いわゆる「悪臭」ではないかもしれませんが、強すぎるにおいにはやはり多くの人が嫌悪感や不快感を覚えるものです。
もしそのにおいが強く、周囲から苦情が入った場合、オーナー(貸主)は何かしらの対処をしなければなりません。しかしアロマオイルは「悪臭」とも「芳香」ともとらえられるため、いくら迷惑になっていても住人が「芳香だから問題ない」と主張すれば、折り合いをつけるのが難しくなります。
どんなにおいや音も、感じ方は人それぞれ。そのため、迷惑か迷惑でないかの判断基準が曖昧になりやすく、トラブルに発展しやすいと言えます。
家賃を払っている以上は簡単に退去させることはできないため、騒音の場合は具体的な数値を示しつつ、周囲の迷惑になっていることを伝え、改善するよう求めることが一番現実的な解決法・対処法でしょう。
家賃滞納問題
弁護士への相談事例が最も多いと言われているのが、家賃の未納・滞納問題。滞納している住人の代わりに家賃を支払う「家賃保証」のサービスをおこなっている会社と契約していれば、オーナー(貸主)に直接的な被害はありません。
ただ、必ず覚えておきたいのは、「管理会社や仲介業者は家賃の滞納を理由に、住人を強制的に退去させることはできない」という点です。直接家賃を取り立てる際は、オーナー(貸主)と住人同士で話し合い、最悪の場合弁護士を立てて裁判という形になります。
一般的に、3か月以上滞納していれば退去の基準となりますが、生活の基盤となる家を失うことは法律上でも大きな問題であると認識されているため、仮に裁判をおこなっても残念ながら簡単に退去させることはできません。
そもそも滞納するような経済状況の住人から、まとまった家賃を回収するのは非常に難しく、万一家賃を回収できたとしても弁護士費用のほうが高額になることも考えられます。オーナー(貸主)は早いうちに「損切り」をする必要があると言えるでしょう。
ここでいう損切りとは、「滞納した家賃を免除するかわりに早めの自主退去を促す」という方法です。未払いのまま終わるのは残念ですが、滞納し続ける住人が家賃を支払うのを待つよりも、住人を早めに退去させて経済的に安定している新しい住人に入居してもらうほうが、結果的にオーナー(貸主)のプラスになります。
原状回復工事問題・敷金トラブル
退去するときに問題になりがちなのが、原状回復のための修繕費用の問題です。汚れや破損の程度、住人の過失・故意によるものか、通常使用では考えにくい状態かなどの基準がありますが、敷金を取り戻したい住人と、原状回復工事を敷金で賄いたいオーナー(貸主)とでは判断が分かれやすく、トラブルに発展するケースが多数報告されています。
そもそも敷金とは借主が物件を汚損・破損させた場合の修繕費用として、オーナー(貸主)へ事前に支払うもの。退去後、実際にかかった修繕費用を差し引いた金額が戻るようになっています。
しかし現状として、トラブルの中には、住人の喫煙によるヤニ汚れや禁止しているペットの飼育による臭い・汚れの問題、オーナー(貸主)が必要以上の金額を不当に請求するなど悪質なケースも多発しています。そのため、どんな状態のとき、誰に原状回復義務が生じるのか、責任の所在を明確にしておく必要があります。
ではケースごとに見ていきましょう。
ハウスクリーニング代
原則としてハウスクリーニング代はオーナー(貸主)負担となります。台所やトイレの消毒、必要であれば浴槽の交換もおこないます。
ただし、ガスコンロ置き場や換気扇の油汚れ、風呂・トイレなど水回りの水垢やカビなどは借主負担となります。
鍵の交換
住人の退去と同時にオーナー(貸主)負担で鍵の交換をおこないます。
壁の釘穴・ねじ穴
壁の釘穴やねじ穴は借主負担となります。ただし、ポスターや絵画を貼った跡、画鋲やピンなどの穴、エアコン設置によるビス穴などはオーナー(貸主)負担となるので注意しましょう。
床の色落ち・変色
経年劣化によるフローリングや畳の色落ち、変色などはオーナー(貸主)負担となります。ただし、雨や飲み物などをこぼしてできたシミやカビは住人の不注意として借主負担となります。
床・カーペットのへこみ
家具の設置によってできた床・カーペットの傷やへこみはオーナー(貸主)負担です。ただし、キャスター付きの椅子の使用でできた傷、引越し作業でできたひっかき傷などは借主負担として請求できます。
ヤニ汚れ
クリーニングで除去できるレベルのタバコのヤニ汚れはオーナー(貸主)負担となります。
オーナー(貸主)は、基本的に経年劣化、通常使用による摩耗・消耗・故障の範囲に対して原状回復の義務を負います。
国土交通省では原状回復工事をめぐるトラブルを未然に防ぐため、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を設けており、公式サイト内でも詳しい資料(PDF)を配布するなど対策をおこなっています。トラブルを避けるためにも、こうした基準をあらかじめ知っておくと便利です。