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リロケーションの費用相場はどのくらい?

2021.04.20
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一定期間のみマイホームを貸し出すことを、リロケーションと言います。一般的に部屋を貸し借りする際に結ぶ「普通借家契約」の場合、貸主の都合で入居者を退去させることはできませんが、リロケーションのような「定期借家契約」であれば、契約期間の満了と同時に入居者は退去しなければなりません。そのため、転勤などで一定期間自宅を不在にするが、数年後は戻って来てまた住みたい場合、その数年間だけ賃貸住宅として自宅を貸し出したいというニーズに適したシステムです。

数年間のみ自宅を他人に貸し出す場合、一般的にはリロケーション会社に仲介を依頼することになります。家賃収入を得られるため、空き家として放置しておくよりもお得なリロケーションですが、リロケーション会社と契約することで発生する費用相場や、その内訳はどうなっているのでしょうか。

リロケーションを利用するまでの流れ

まずは、リロケーションとしてマイホームを貸し出すまでの流れについて見ていきましょう。

リロケーション会社を選ぶ

管理業務委託契約を結ぶ

リロケーション会社と相談して、家賃など募集条件を決める

必要であれば修繕やハウスクリーニングを行う

入居者の募集・審査

入居開始

以上のような流れになります。家を貸すまでの流れとしては、普通借家契約であっても定期借家契約であってもほとんど変わりません。

家賃に関しては、地域や築年数、間取りなどによっておおまかな金額はあらかじめ提示してもらうことができますが、実際に入居者を募集する前には担当者が現地を訪問し、貸出方法や貸出年数なども鑑みながら最終的な家賃を決定することになります。ちなみに、入居者が見つかりづらい定期借家では、周辺の家賃相場よりも安い家賃を設定するのが一般的です。具体的には、2年契約で20~30%、3年契約で15~25%、4年契約で10~20%ほど安くする場合が多くなっています。

リロケーションを利用する際にかかる費用

管理委託申込料

リロケーション会社と契約を結ぶ際に発生する、着手金のようなものです。相場としては1万円前後ですが、会社によっては無料の場合もあります。

契約事務手数料

入居者の募集や審査、入居者との間で結ぶ賃貸借契約などの事務手続きにかかる費用です。相場としては、賃料の1か月分が一般的です。

保証料

入居者が決定すると、事務手数料とは別に保証料が発生する場合があります。その場合も、賃料の1か月分が相場となっています。

以上が、リロケーション会社との契約から入居者の決定までにかかる費用の内訳です。これらのほかに、毎月かかる費用が「管理手数料」です。リロケーション会社のメイン業務である賃貸管理にかかる費用で、賃料の10%が相場となっています。ただし、滞納保証などのオプションが付いている場合、もう少し高く設定されていることもあります。

その他、年に1回、リロケーション会社との契約の「更新料」として家賃の0.5か月分がかかる場合があります。また、送金手数料や写真撮影料が別途かかる場合もありますので、詳しくは契約前にリロケーション会社に確認するようにしてください。

設備等の修繕費は貸主負担?

大切なマイホームを他人に貸し出すときに心配になるのが、壁や床、設備などを汚したり壊したりせずきれいに住んでくれるかどうかという点です。リロケーションに特化した不動産会社であれば、数年後貸主が戻ってくることも考慮して入居審査を厳しくしているため安心ですが、どんな人でも普通に生活していれば、ある程度汚してしまったりすることはあるでしょう。そのような場合、修繕費用などは入居者に請求できるのでしょうか。

結論から述べると、経年劣化によるものや通常の範囲内での傷や汚れに関しては、入居者に修繕費用を請求することができません。具体的に言うと、畳の変色や家具の設置による床のへこみ、テレビや冷蔵庫による電気焼けなどが当てはまります。一方で、カーペットに飲み物をこぼしたことによるシミやカビ、ペットが付けた傷など、入居者の過失や故意による傷や汚れに対する修繕費用に関しては費用を請求することができます。

これらの具体例は、退去時のトラブルを未然に防ぐために作られた、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を基にしています。ホームページから資料をダウンロードすることができますので、詳細はそちらでご確認ください。

リロケーションで得た不動産収益の納税も忘れずに!

ここまで紹介した費用とは別に、リロケーションを利用して収益を得た場合は納税が必要です。
不動産である自宅を貸して家賃をもらうと、不動産収入を得ていると判断されます。そのためリロケーションを利用している場合は、確定申告をして納税しましょう。無申告や申告漏れには、ペナルティが課せられるので要注意です。

しかし、不動産収益はどうやって計算すればいいのでしょうか。
課税の対象になる不動産収益の計算方法は「総収入-必要経費=不動産収益」です。この計算式を見ると、経費をどれだけ計上するかで納税額も変わります。経費に含まれる費用は、固定資産税などの税金や火災保険などの保険料、修繕費、ローン金利、管理会社への業務委託金、税理士や司法書士への報酬、減価償却費などです。

基本的に確定申告は自分で行う必要がありますが、やり方が分からないときはリロケーション会社に相談してください。会社で提携している税理士など専門家が、相談に応じてくれます。

海外への転勤などで確定申告を自分でするのが難しいときは、リロケーション会社と契約をして所得税の納税管理人となってもらいましょう。契約を結べば、不動産収益の確定申告だけでなく、その他の税金に関する業務にも対応してもらえます。手数料がかかりますが、手間を省きたい人にはおすすめです。

リロケーション前に知っておくべき各種手続き

マイホームを貸し出すためには、リロケーションを任せる賃貸管理会社との契約を行いますが、その他にも各種必要な手続きがあります。

まず住宅ローンなどの融資を受けている場合、その住宅に本人が住まなくなったことを届け出なければなりません。たとえば、住宅金融支援機構からの借り入れがある場合、本人が転勤などで一時的に住めなくなる期間中、融資住宅の管理人を選任する手続きを行うことで、引き続き融資を受けることができます。

届け出を怠って無断でリロケーションを行うと、融資条件にある返済完了まで本人が住むことという契約に違反することになり、最悪の場合は融資金の一斉返済や違約金が請求されることになります。リロケーションによる所得は確定申告が必要なため、転勤による赴任先が海外の場合は、日本国内に在住する家族や税理士など、代行してもらえる納税管理人を届け出ることも必要です。

また、一定期間とはいえ貸し出した自宅とは別の場所に住むわけですから、通常の引っ越しと同じように、様々な機関への住所変更や転送の手続きが必要になります。銀行、クレジットカード会社、保険会社、郵便局、公共料金や会員登録をしているところなどをピックアップして、チェックしておきましょう。

まとめ

マイホームをリロケーションという形で貸し出す場合、契約時や毎月の管理手数料などがかかるほか、原状回復にかかる修繕費用などの多くは貸主の自己負担となります。ただ、これらの費用は普通借家契約の場合も定期借家契約の場合もそこまで大きな違いはありません。

家は人が住んでいないだけで急速に劣化していきます。ですから、転勤などでマイホームを数年間不在にする場合、他人に貸し出すことで家の劣化を防ぐのがおすすめの手段です。普通借家契約では入居者を追い出すことはできませんから、契約満了とともに確実に退去してもらえる定期借家契約=リロケーションを利用しましょう。