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空家の固定資産税対策にリロケーションが最適な理由とは?
2020.04.07
親が亡くなったことで、実家を相続するという方もいるでしょう。親が残してくれた大切な資産であることには間違いないのですが、たとえ空家であっても、固定資産税はかかるというのが現実です。誰も住まないからと言って住宅を取り壊して更地にしてしまうと固定資産税の負担が増えることはよく知られていますが、空家として放置した場合にも、固定資産税が上がってしまう可能性があるということはご存じでしょうか?
そこでおすすめなのが、リロケーションとして所有する空家を人に貸し出すことです。ここでは、リロケーションというシステムの内容や、固定資産税対策になる理由などについてご紹介します。
空家は固定資産税が高くなる?
土地にかかる固定資産税は、「課税標準額×1.4%(標準税率)」で求めることができます。ただし、その土地に住宅が建っている場合は税額が異なります。敷地面積が200㎡未満の場合は6分の1の、敷地面積が200㎡以上の場合は3分の1の軽減措置がそれぞれ適用されるのです。ですから住宅用地にかかる固定資産税の算出の仕方は、敷地面積が200㎡未満の場合「課税標準額×1/6×1.4%」、敷地面積が200㎡以上の場合「課税標準額×1/3×1.4%」となります。
この軽減措置はその敷地の上に住宅が存在する限り適用されるため、人が住まなくなった家も取り壊して更地にするのではなく、空家のまま放置されるという事例が多々ありました。しかし、空家は防災、衛生、景観などの観点から周辺住民の生活環境に深刻な影響を及ぼすとして、徐々に問題視されるようになります。
そこで2015年に「空家等対策特別措置法」が施行され、「特定空家」に指定された空家の建つ敷地は、固定資産税の軽減措置から外されることとなりました。つまり、固定資産税が単純に6倍(または3倍)になるというわけです。本来の税率に戻るだけとは言え、負担が増えることに抵抗を感じる方も多いでしょう。それまでと同じように軽減措置が適用されるためには、「特定空家」に指定されないように配慮した上で、建物を維持するしかありません。
「特定空家」とは?
国土交通省によると、「特定空家」とは以下のように定義されています。
①倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
②著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
これらの条件に当てはまり「特定空家」として指定されてしまうと、固定資産税の負担が増えるほか、自治体の指導・勧告・命令に基づく改善を怠った場合50万円以下の過料を科されることもあります。
「特定空家」に指定されないためには、定期的に家のメンテナンスを行う必要がありますが、所有する空家が遠方にある場合はそれもなかなか難しいのではないでしょうか。そこでおすすめなのがリロケーションです。
リロケーションとは?
リロケーションとは、一定期間のみ所有する物件を賃貸住宅として貸し出せるシステムです。一般的に家を貸したり、借りたりするときに結ぶのは「普通借家契約」と呼ばれますが、特徴は、入居者の権利が強く守られるという点です。そのため、貸主の都合で入居者を追い出すことができません。
一方リロケーションとして家を貸し出す際に結ぶのは「定期借家契約」と呼ばれ、あらかじめ決められた契約期間を満了すると、入居者は基本的に退去しなければなりません。そのためこちらの契約方法は貸主にとって有利なシステムとなっています。
家は人が住んでいないだけで急速に劣化してしまいますが、逆に言うと人が住むことで家の劣化を防ぐことができます。ですから、空家になっている実家をリロケーションとして貸し出し、人に住んでもらうことで「特定空家」に指定されるのを防ぐことができます。
なぜリロケーションなのか
実家やその土地に何の思い入れもない、手放してもいい、と考えている方であれば、売却するという手もあります。しかし、親が残してくれた大事な資産だから手放したくないとか、老後は実家をリフォームしてそこに住みたいという方には、リロケーションをおすすめします。
上述した通り、一般的な賃貸契約では借主の権利が強いため、持ち主の都合では借主を追い出すことができません。ですから、自分自身が退職したタイミングなど、こちらの都合のいい時に家を明け渡してもらうにはリロケーションという方法しかないのです。
まとめ
住宅が建っていた土地を更地にすると固定資産税が上がることはよく知られているため、なんとなく空家のまま放置しているという方も少なくないでしょう。しかし、ご説明した通り、所有する物件が「特定空家」に指定されてしまうと、結局は更地にしたときと同じだけの固定資産税がかかることになります。
リロケーションとして人に貸し出せば、家の劣化を防げるだけではなく、家賃収入を得ることもできるため一石二鳥です。最近はリロケーションに特化した不動産会社も増えてきましたので、固定資産税対策の一環として、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。