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リロケーションしたら確定申告はするの?必要書類や流れを解説

2021.03.20
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確定申告は納税額を確定するために必要な手続きです。会社員であれば、勤務先が年末調整を行っているため、個人で確定申告を行った経験がないという方も多いのではないでしょうか。

近年では会社員の中に、副業として不動産投資を始めた方もいるようです。その風潮を鑑みて、リロケーションも不動産投資のひとつとする考えがあります。それでは家賃収入のように、給与以外に得た収入に関しても、確定申告を行う必要はあるのでしょうか。

リロケーションとは?

リロケーションとは、短期間のみ自宅を賃貸不動産として貸し出すことを指します。この際、契約期間はあらかじめ定められており、期間が満了すると入居者は退去しなければなりません。リロケーションは「定期借家契約」に分類され、「普通借家契約」とは特徴が異なります。

一般的な「普通借家契約」では、原則として契約を更新しなければなりません。そのため、「転勤から戻ったから、入居者には退去してほしい」などの貸主側の一方的な都合では、入居者に退去を強制することはできなかったのです。

リロケーションによって家賃収入を得た場合は不動産所得として確定申告を行い、税金を納める必要があります。ただし、家賃収入が年間20万円以下の場合は、確定申告を行う必要はありません。

確定申告の流れ

確定申告の大まかな流れは、「必要書類の準備→申告書の作成→申告書の提出」となります。所得税の確定申告は、例年2月16日から3月15日までです。提出期間に間に合うよう、計画的に準備するようにしましょう。ただし、社会情勢によっては期間が異なる場合もあるため、国税庁のホームページなどで期間を確認するようにしてください。

確定申告に必要な書類

①本人確認書類
マイナンバーカード1枚でOKです。マイナンバーカードを持っていない方は、「マイナンバー通知カードまたは住民票」と「身元確認書類(運転免許証、公的医療保険の被保険証、身体障碍者手帳、パスポート、在留カードなど)」の両方を用意しましょう。

②印鑑
シャチハタは不可で、口座振替の申し込みをする方は銀行の届出印も必要です。

③申告書
所得額と、それをもとにした税額を記載した書類が必要です。税務署に取りに行くか、自分で印刷しましょう。電子申告(e-Tax)の場合は紙の申告書は必要ありません。

④口座番号が分かるもの
所得税を口座振替で納付する場合や、還付金を口座振り込みで受領する場合に必要です。

⑤所得を明らかにできる書類
青色申告決算書(白色申告の場合は収支内訳書)を用意しましょう。給与所得や年金がある方は、源泉徴収票(原本)、支払調書(原本)も必要です。その他の所得がある場合はそれぞれの所得の内容を明らかにできる書類が必要となりますが、ここでは割愛します。

⑥控除を受けるための証明書類
医療費が年間10万円を超えた方、寄付をした方などが控除を受ける場合は、それを証明する書類が必要です。

確定申告の種類

確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。ここでは、どのように異なるのか紹介しましょう。

青色申告

その年の3月15日までに、「青色申告承認申請書」を所管の税務署へ届け出る必要があります。複式簿記で帳簿を作成することが義務付けられており、日々の取引の記録をもとに、「仕訳帳」と「総勘定元帳」を作成しましょう。確定申告の際は「総勘定元帳」をもとに、「損益計算書」と「貸借対照表」を作成し、確定申告書(B)、青色申告決算書、控除を証明する書類とともに提出してください。

白色申告

税務署へ申請書などを届け出る必要はありません。帳簿作成は簡易帳簿でよく、提出する書類は確定申告書(B)、収支内訳書、控除を証明する書類と定められています。

リロケーションで得られる家賃収入を確定申告する際には、最大65万円まで控除が受けられる青色申告をおすすめします。白色申告では特別控除を受けられません。青色申告は帳簿の作成方法が煩雑で専門的ではありますが、会計ソフトを利用すれば比較的簡単に必要な書類を作成できるでしょう。

経費として計上できる項目

確定申告を行うにあたり、経費として計上できるものについて確認しましょう。

①減価償却費
10万円未満の場合は、購入した年に全額経費に計上できます。10万円以上20万円未満の場合は、購入した年から3年にかけて均等に経費として申告できるのです。30万円未満の場合、青色申告であれば年間300万円までの範囲を一括で計上できます。

②物件管理費
マンションの管理費や修繕積立金などが該当します。

③修繕費
建物や設備の修繕、メンテナンスにかかった費用も、経費として申告可能です。

④損害保険料
火災保険や地震保険などの保険料を指します。

⑤租税公課
固定資産税、事業税、不動産取得税、登録免許税、自動車税、印紙税など(リロケーションに関連するものに限る)は経費として計上しましょう。

家賃収入を確定申告しなかったらどうなる?

毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、翌年2月16日から3月15日までの期限に確定申告を行うよう義務付けられています。(その年の休日などにより、期限日は変動することがあります。)

確定申告をしなかった場合は、納付までの日数が長くなるほど、より多く課税されるようです。

まず申告期限に間に合わなかった場合は、無申告加算税が課せられます。原則として、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分には20%を乗じた金額が加算されるのです。

この無申告加算税に加えて、納付期限の翌日から完納する日までの日数に応じた延滞税をあわせて納付しなければなりません。

延滞税は、申告書を提出した日が納期限となり、割合は延滞した日数に応じて変動します。たとえ期限内に確定申告を行ったとしても、期限後に申告内容に不備が発覚するなどして、延滞税が課せられるケースもあるようです。

申告書に不備があったことを自ら申し出るのと、税務署から指摘される場合では、追加の税率が変わります。申告していなかったことが発覚すると、最悪の場合は脱税として重加算税が課せられたり、より悪質とみなされると刑事罰に処されたりする可能性もあるようです。

確定申告は必ず期限を守って、できるだけ余裕をもって提出しましょう。

まとめ

リロケーションによる家賃収入は、不動産所得として確定申告することが必要です。申告を忘れてしまったり、誤った方法で手続きしたりしてしまうと、申告漏れを指摘されて追徴課税を課される可能性もあります。期間中に手続きを行えるよう計画的に必要な書類を準備し、スケジュールや書類の不備には充分注意するようにしましょう。