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空き家はなぜ問題?現状と解決に向けた取り組み

2022.01.10
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現在の日本では年々空き家が増加し、社会的な課題の1つとして空き家問題が人々に浸透してきています。「空き家の何がダメなの?」「そもそも空き家問題とは?」と、空き家問題をあまり具体的にイメージできない人も多いのではないでしょうか。今回は空き家が抱える問題と現状、課題に向けた取り組みについて紹介します。

空き家問題とは?

空き家が増えると「外部不経済・機会損失を発生させてしまう」という2つの問題が起こります。外部不経済とは「市場で行われる経済活動とは別の場所で発生する不利益が、個人や法人に悪い影響を与えること」で、簡単に言い換えると「空き家自体が周りの住民など、第三者に不利益を与え損害をもたらすこと」という意味になります。つまり空き家があることで、地域や周りの住民に悪い影響をもたらしてしまうというのが外部不経済です。空き家が与える悪い影響として主に挙げられるものは「景観の悪化による地域への悪影響」「犯罪が頻発する」「住宅の価値が下がる」といった点です。雑草が伸びれば景観が悪化し、老朽化した屋根や壁が倒壊すれば、不衛生な環境から悪臭が発生するなどの問題が起こります。犯罪の側面では、ホームレスや犯罪者の不法侵入・不法占拠、あるいはゴミなどの不法投棄や放火にもつながってしまう恐れがあります。また、人口が減少して住宅の需要が減ってくれば、空き家がどんどん増加し、住宅自体の価値が低下してしまうという問題も出てきます。次に、もう一つの問題である機会損失についてです。機会損失は空き家があることでその場の土地・建物が有効活用される機会が失われてしまうことを指しています。場所によって最適な決定がされず、多くの利益を得られる機会を失ってしまい、損失が生じてしまうのです。空き家が増えると、これらの問題が深刻化しているのが現状です。

空き家問題が抱えるリスク

空き家を放置すると、さまざまなリスクが生じてしまいます。具体的にどのようなリスクがあるのか、5つ紹介していきます。

老朽化

人が暮らしていない建物は、人が暮らしている建物よりも老朽化が進みやすいです。入居者がいない上に、定期的な設備点検や通風・通水などを行わなければ、どんどん老朽化が進んでしまいます。

景観の悪化

庭の雑草や植栽が一切手入れされず放置されたままだと、景観を損ねてしまう原因となります。また衛生害虫の発生や、猫などが棲みついたりした場合は、不衛生を招く恐れもあるので注意が必要です。

防犯の不安

空き家には誰も住んでないことから、不法侵入や不法占拠、ゴミなどの不法投棄をされる可能性が高まります。加えて、放火など大きな犯罪が起こる危険性もあります。

防災の不安

地震などの災害が発生した場合、屋根や河原・壁などが崩落してしまうと付近の道路を塞いでしまい、非難を妨げる恐れがあります。

空き家対策特別措置法

現在では空き家対策特別措置法というのが施行され、自治体による管理の強化が行われています。空き家対策特別措置法という法律により、修繕または撤去の指導・勧告・命令を受ける場合がありますが、最終的には空き家を強制的に取り壊されてしまう可能性もあります。

新たな街の再生を阻害する空き家

空き家が存在することによる「機会損失」は深刻な問題です。まだまだ利用することのできる空き家や土地が有効的に活用されなければ、新たな住民が引っ越してきたり、店ができて賑わったりする機会もなく、街の再生を阻害してしまっているケースが多々あります。こういった新たな街の再生機会の阻害を少しでも減らすために、資源になる空き家や取り壊すべき空き家をしっかり分別し、機会損失を利益に変える必要が出てくるでしょう。過去の例でいくと、空き家となってしまった寿司屋がカフェ・バー・オフィス・イベントスペースとなり、多様なイベントが開催された結果、多くの人が集まった虎ノ門の「リトルトーキョー」があります。街の再生を阻害する空き家を上手く活用できれば、新たな価値を見出せるでしょう。

空き家問題は深刻化する前の対処がポイント

放置された空き家に対する指導が強化されていることもあり、空き家問題が深刻化するとその分リスクも段々と大きくなってしまいます。特定空き家として指定されてしまえば、ペナルティーとして固定資産税の優遇措置から外されてしまう上に、行政代執行というかたちで所有者に変わり、行政が建物の取り壊しを実行できてしまいます。そうなってしまう前に空き家の新たな活用方法を見つけて、対処する必要があります。

まとめ

空き家問題は年々深刻化しており、放置するだけでリスクになってしまいます。各自治体では空き家問題を大きくとらえ、リフォームや解体の助成金といった制度を用意しています。制度を活用すれば、空き家に新たな価値を生み出せます。修繕して他人に貸したり、シェアハウスとしての活用や民泊の経営、更地にして駐車場として貸し出す、などさまざまな選択肢を考えることで、空き家問題が少しでも解決に向かうのではないでしょうか。